今だから、言える。 [ウチの子]

随分と、前回から間が空いてしまった。

忘れもしない3月28日の午前3時前、我が家の庭で野良の子猫が誕生。
乳離れしたら、うちの子にしようと思っていた。
そのつもりだった。

事実は小説よりも奇なり、とはよく云ったものだ。

乳離れしたら と、私達は考えていた。
それまで母猫の元で、ゆっくり大きくおなり、と思っていた。


もう一度繰り返すが、事実は本当に小説より奇なり。


子猫は、自らの意志でやってきた。

↓ 我が家の壁をぶち抜いて。
b122.jpg


事のいきさつはこうである。

4月4日の早朝、母猫が異様な声を上げて家の周りをうろついていた。
その声を聞いた時、子猫に何かあったのだとすぐに気づいた。
以前TVで見た、子猫を探す時の鳴き方そっくりだったからだ。
我が家は田んぼの隣の一軒家。
生まれたばかりの子猫には天敵の、蛇やイタチが屋根裏にも普通にやってくる。
結局、その日は夜になっても子猫の声はせず、母猫も時々悲痛な声を上げながら、天井裏や庭を行き来していた。

翌日の4月5日。
憂鬱な気持ちで仕事に向かおうとした時、玄関のどこからか、子猫の鋭い声がした。
「ああ、なんだ。無事だったのか」と安堵したのだが、子猫がしきりに鳴いているのに、母猫は何故かケロリとした様子で玄関前でエサを待っている。
数日前なら子猫が鳴いた途端に、急いで隠れ家へ戻っていっていたのに。
なんとなく不安に思いつつも、その場はエサをやって出勤。

夕方帰ってきたとき、母猫は玄関前で通ってきた雄猫とイチャついていた。
そして、相変わらず子猫の悲痛な声が玄関のどこからか聞こえてくる。

これはおかしい。

子猫の声がする場所を探してみると、廊下の床下からだった。
これは、奇妙な事態だった。
家の軒下は全てコンクリで塞いであり、通気孔も蛇一匹通れないくらい細い鉄格子がガッチリはめ込まれているからだ。
家の外から床下に入る場所はない。
けれど、声は確かに床下からする。
つまり、母猫は子猫の声がしても、子猫の元に行けないのではないか。
それがかれこれ、どれくらい続いているのか。

じきに日が暮れてしまう時刻。
あまり時間に猶予はないので、まずは居間の畳を除けて、床下に下りてみることにした。
(その間、相方は応援。というよりレスキュースイッチ入ってしまった私が鬼気迫って見えて、ドン引いていたそうな)
日本家屋でよかった、とはいえど、畳の下の板間を再起不能な感じで破壊しつつ、床下をあけてみた。
床下は、その板間に接さんばかりにコンクリや廃材が詰まっていた。
私たちが入る以前、増築した時の瓦礫を業者がそのまま放置していったらしい。
許すまじ。
内部はその瓦礫を押しのけても、人一人がうつ伏せでやっと横になれるくらいの高さしかない。
全身土の上に大の字とか、何十年ぶりだろう・・・と意識のどこかが現実逃避しつつも、その中を這ってみた。
声のした玄関方向を懐中電灯で照らしてみても、動く気配はない。
匍匐前進で土間の上がり(と思われる)真下まで行ったけれど、子猫の姿はない。
無駄だったのか・・・しかし、子猫はどこに・・・
と、埃っぽい地面に突っ伏した私の真横で「みゃう」と。
そこは、壁に向かってコの字型にコンクリとブロックで囲まれた、風呂場の場所。
土台から床上まで、がっちりと囲んである。
そのブロックの向こうから、確かに声がした。

ここまでレスキュー作業をしていて、一つ確信していたことがある。
子猫が行方不明になるまで、母子は屋根裏で生活していた。
そして、家の外からは床下への侵入はできない。
という事は、屋根裏から床下へという、空間が繋がっているということ。

私は、声のした真上の壁を壊し始めた。
ここが貸家だという事実は、その時点では頭になかった。(
壁は、やはり中が中空だった。
しかし、声がしたのは穴より床よりさらに下。
穴を広げ、なんとか手首まで突っ込んで穴の底を探ったとき。

まるでぬいぐるみのような、ごわついた毛が、指にふれた。




その時の感動は、今までの人生の中で一番だったかもしれない。
しかし薄い壁とはいえ、コンクリをガンガンぶち壊す轟音と振動に、毛玉はどんどん奥へ底へと小さく固まっていってしまって、作業は難航。
穴の幅は5センチあるかないかで、とても子猫を掴んで取り出すことはできない、というか握りこぶしすらできない。
弱り果てて、思わず「頼むから、こっちへおいで」と声をかけた瞬間、毛玉が動いた。
顔をあげた感触が、指先にくる。
首筋の場所がわかったので、迷わずそこの皮をつまみ、渾身の力と細心の注意とで、手首を引き抜いた。

「出た!!」




・・・真っ黒な子猫を想像してたんですよ。
母猫真っ黒だし、その前に子猫を見たっていう大家さんの話では「まっくろいのがモゾモゾ」って言ってたから。
だからね、見た瞬間ね・・・「誰おまえ!!!!」b123.JPG
失敬ニャ。





と、いうのがこの子の顛末でして。

生後8日目にして、我が家の壁をぶち抜いて新しい家族がやってきました。
まだ目も耳も満足に開いてません。
こんな小さな子猫を育てるのは初めてで、あまりに不安だったのでブログに書くのを今までためらっていました。
ようやく生後20日の願掛けも成就したので、ここに解禁します。
これから急ピッチで成長記録書かせて頂きます!

あ、ちなみに。

この子の名前は「オセ」です。

・・・うん、AI●Nの黒もっちゃり(ーωー)ですヨ、語源は。
黒猫のつもりだったから・・・ネ。



次回予告
『母は黒、父(2人)は白。そして君は何故にキジトラ・・・!』

タグ:子猫
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